霧雨が降り一瞬先が見えない状態だった。
何度か道に迷いながら、なんとか富士山の5合目にたどり着く。
ここからは歩くしかない。
(山頂まで7時間)と書かれた看板が
まるで自分に挑戦を吹っかけているように見えた。
暗い夜の山道を登り始めた。
険しい山道と冷たい風。
なんでこんなことやっているんだろうと正直思ったが
この程度のことが出来ないで自分に勝てる分けないと思ってひたすら登る。
途中登山をしているおばさんに
「若い人はすごいわね」
といわれるが
「はい」
の一言で切り抜ける。
なぜならこれは自分との戦いだから。
休んでる余裕はない。
ミュージシャンなんて運動に縁のないことをしているので
足はすぐに悲鳴を上げ始め
やがて左足を引きづりながら登ることになった。